nanacaraで行った調査では、みなさんからの「治験について、ここが分からない」という疑問の声をたくさんいただきました。
Q治験について分かりにくいことは何ですか?(複数回答可)
1位安全性
2位トラブルの際の救済措置
3位今どのような治験が実施されているのか
上記以外にも「どこで受けられるのか」「入院の必要はるのか」「どうやって申し込むのか」「全体の流れを知りたい」などなど、治験そのものがいかにみなさんにとって分かりにくいものであるかが浮き彫りになりました。
みんなの疑問に答えます
Qなぜ治験が行われるの?
A試験管の中での実験や動物実験により、病気に効果があり人に使用しても安全と予想されるものが「薬の候補」として選ばれ、開発の最終段階では健康な人や患者のみなさんの協力によって、人での効果と安全性を調べるよう定められています。
薬として国の承認を得るための成績を集めるための臨床試験が治験です。つまり治験を行い必要な数の結果が集まらなければ、薬として発売することもできません。
Qどんな人が治験に参加できるの?
A参加できる人の条件はその治験ごとに詳細に決められています。
参加される方の健康状態に十分配慮しながら、科学的に正しく正しく治験を行うためです。
参加を希望される場合でも残念ながら条件を満たさず参加できないこともあります。
Qどこで受けられるの?
A全ての病院で治験に参加できるわけではありません。治験を行う病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた要件※を満たす病院だけが選ばれます。
※医療設備が充分に整っている、責任を持って治験を実施する医師・看護師・薬剤師等がそろっている、治験の内容を審査する委員会を利用できる、緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えるなど
Q治験に参加するメリットは?
A●発売前の薬をいち早く使用できることで、治療の選択肢が広がる可能性があります。
●治験参加前には詳細な検査や診察が必要なため、これまで分からなかった健康状態について知れる可能性があります。
●未来の人々に新しい薬や治療法を届けることができるかもしれません。
※これらはメリットを必ず保証するものではありません。また、参加いただく治験によってメリットは異なります。
詳しくは治験担当医師や治験コーディネーターにご相談ください。
Q治験に参加するデメリットは?
A●安全性に十分配慮するため、また治療効果などの確認のために、通常の診察よりも受診や検査の回数が増えることがあります。
●かかりつけ病院で治験を行っていない場合は一時的な転院が必要です。
●どのような薬にも副作用はありますが、思わぬ副作用があらわれるかの可能性があります。
●期待していただけの効果が得られない可能性があります。
●治験によっては薬の有効成分を含まないもの(プラセボ)を使用する場合があります。
●治験の内容や病気の種類によっては、食事や運動に関する注意や、飲酒・喫煙などの制限があります。
●治験の担当病院以外を受診する、新たな薬を服用する、市販薬などを服用す場合など、前もって治験を担当する医師に相談する必要があります。
※参加いただく治験によってデメリットは異なります。
詳しくは治験担当医師やコーディネーターに遠慮なく相談し、納得できた場合のみ参加するようにしましょう。
Qもし治験で症状が悪化したり健康被害をうけたら?
A安全性に対して、治験では最も注意が払われます。治験の途中で複数回、製薬会社の担当者が病院へ出向き、予定どおり診察や検査が行われているかを確認します(このことを「モニタリング」といいます。)治験の途中で、死亡や未知の重大な副作用が起きた場合は、速やかに治験審査委員会と製薬会社に連絡されます。連絡を受けた治験審査委員会は、治験の継続の可否について審査します。また連絡を受けた製薬会社は、重大な副作用である場合等には定められた期限内に国に報告し、必要な場合には治験の見なおしをします。
治験に参加されている途中には、他の患者さんでみられた副作用などについて説明され、患者さんの治験への継続参加の意思が確認されます。
治験開始前に渡される説明文書には、治験薬のこれまでに見られた副作用や予想される副作用について説明があり、注意事項が書かれています。説明文書はよくお読みください。
万が一治験に参加している途中でいつもと違う症状がみられた場合はすぐに治験担当医師に連絡してください。
副作用によって障害が残った場合は保障や賠償が受けられます。
Q通常の通院治療との違いは?
A通常の治療に比べて通院や検査の回数が増えることもあります。
治験に参加される方の負担を少なくするために、治験を行っている病院で様々な配慮がなされています。
内容は病院によって異なりますので、実際に治験に参加される前に病院にお尋ねください。
(患者さんの負担を少なくするための配慮の例...診察待ち時間を短くするよう治験専門の外来診察の設置、服薬指導や相談を受ける専任の看護師・薬剤師の配置、治験や健康などに関する質問や相談に応じる治験相談窓口の設置、治験を依頼している製薬会社による治験期間中の検査費用と一部のくすり費用負担、通院の交通費補助など)