2022.07.04ニュースリリース
患者さんやご家族、医師と共に創る、てんかん*診療の支援プラットフォーム「nanacara(ナナカラ)」を運営するノックオンザドア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:林 泰臣、以下ノックオンザドア)は、てんかん発作に関する社会課題解決の推進を目指し、神経・精神疾患領域における革新的な新薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:綱場 一成、以下アキュリスファーマ)とてんかん領域における包括的な協業について合意しました。
ノックオンザドアは、今回の協業を起点とし、製薬企業におけるてんかん治療に関わる新薬開発を支援することで、患者さんやご家族にとって、より良い治療がより早く提供される世界の実現を推進して参ります。
ノックオンザドアは、てんかんをもつ患者さん、ご家族がより自分らしく暮らせる社会の実現のため、発作の正確な記録と医師等、関わる支援者への伝達が難しいという課題に対して、患者さん・ご家族が容易にかつ正確に発作の記録をでき、医師等への支援者へ伝達できるプラットフォームサービス、「nanacara」を患者さんやご家族、医師とともに開発・運営しています1。
てんかんに罹患されている方は、本邦で60-100万人いらっしゃると言われ、多くの患者さんは適切な診断や、抗てんかん薬などによる治療で発作が抑制され、通常の社会生活を送られています。その一方で、約3割の患者さんは発作の抑制が難しく、日々繰り返す発作に対応を求められる「難治てんかん」患者になります2,3。
てんかんの原因、症状、重症度は患者さん個々人によって大きく異なり、同様にてんかん発作も患者さんごとに多様な性質をもっています。その中でも、1日に何度も繰り返される発作や一定時間が経過しても停止しない発作を抱える患者さんにおいては、脳へのダメージ、生命予後への影響が懸念され、速やかな治療介入が必要とされますが、現在は、救急車で医療機関に搬送し、医療関係者による投薬治療を受けることが中心で、救急車を呼んで医療機関に到着するまで平均約40分を要することから、時間の障壁がありました4。患者さんとそのご家族、医師を対象とした海外の大規模調査では、繰り返すてんかん発作が患者さんご本人はもとより、ご家族における精神的、社会的、経済的な負担についても報告されています。
この課題は、nanacaraをご利用の患者さん・ご家族からも、生活上の大きな困りごととして、声があがっていました。
ノックオンザドアはてんかん診療を向上させるために患者さんやご家族、医師とのチームと、nanacaraに蓄積される膨大なデータを保有しており、製薬企業等とのパートナーシップにより、より早い課題解決を目指しています。
アキュリスファーマは、繰り返すてんかん発作を抱える患者さん、そのご家族・介護者がより安心し、自分らしく生活できる社会を実現するため、てんかん発作に対して医療機関の外でご家族・介護者が発作に対応する手段を届けるべく、日本国内でジアゼパム経鼻スプレーの開発準備を進めています。同時に、新しいテクノロジーやサービスを積極的に活用し、てんかん発作に地域社会全体で対応するエコシステムの構築を推進しています。
両社は、それぞれのノウハウを活用し、本邦におけるてんかん発作の実態や課題について明らかにし、今後のてんかん発作の医療提供体制の整備等に役立て、てんかんの患者さん・ご家族が抱える課題の解決を目指して参ります。
当社は引き続き、てんかんを持つ方とご家族が輝き自分らしい暮らしを送れるよう、nanacaraの輪を広げ、てんかん診療の向上、暮らしの向上にむけて、皆様と共に社会を変えていく活動を推進して参ります。
国内でアキュリスファーマが実施する治験において、ノックオンザドアは被験者のご家族が発作、体調、薬剤投与等の情報を記録するため、治験仕様の電子日誌アプリを制作・提供します。てんかん領域で広く利用されているnanacaraの開発・運用を通じて蓄積された当社の知見を活用し、簡便に、且つ正確で信頼性の高いデータの収集を図ります。
治験での協業と並行して両社は、てんかん発作に対して速やかな医療的支援の提供が可能な社会づくりを目指して、nanacaraを通じて蓄積されたてんかん発作等のリアルワールドデータ**を元にした研究を予定しています。
繰り返すてんかん発作を抱える患者さん、そのご家族・介護者が暮らしやすい社会を実現するため、介護者の声に寄り添った薬剤の開発を進めるとともに、薬を超えて、てんかんをもつ患者さんとご家族が自分らしく生活できる社会づくりを、両社で進めて参ります。
*てんかん:脳の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなどの症状(てんかん発作)を引き起こす慢性的な脳の病気です。
**レセプト、電子カルテ、健診、患者レジストリなど様々な情報源から日常的に収集された患者さんの健康状態および医療の提供に関連するデータの総称 。この研究ではnanacara利用者ご本人から利用目的について同意を得たデータを活用します。
出典:
2 てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究_2013年
3 Kwan P, MJ Brodie. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med. 2000 Feb 3;342(5):314–9.
4 小児けいれん重積治療ガイドライン 2017(日本小児神経学会)
5 Penovich PE, Buelow J, Steinberg, et al. Burden of seizure clusters on patients with epilepsy and caregivers survey of patient, caregiver, and clinician perspectives. The Neurologist. 2017;22:207–214.
■アキュリスファーマ株式会社について
アキュリスファーマ株式会社は“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念から創られたAculysを社名とする日本発のバイオベンチャー企業です。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。
会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2-14-4
代表者:綱場 一成
設立日:2021年1月